<ロボットプログラミング教育に対する佐藤の想い>  ミドル進級時にも追加キット代のご負担をお掛けしますこと、恐縮に存じます。 時代の要請を踏まえ、アドバンスコースに次いで、2019年8月~ミドルコースもプログラミング対応にリニューアルされました。 急激にICT社会化が進む中、学校のみならず、私塾においてもカリキュラムをどんどん改訂していく姿勢は必要不可欠であり、 一FC教室としてヒューマンアカデミーの開発体制を評価できますし、今後も続きます。  一方で、私が個人的に引っかかるのは、巷の「プログラミング習得が今後のカギ」かのような、にわかな日本的コンセンサスです。 個人レベルでも30年以上も前からあるプログラミングを持ち出して、「時代の要請」とか「2020年教育改革」のメインテーマのように謳うのは遅すぎます。 今から「プログラミングが得意になって、仕事に困らなくなる」なんて、そんな単純な将来が待っている筈がありません。 仮にそうだとして、プログラマーが量産されて、履歴書に書かれる「珠算」や「普通運転免許」と同格になるだけでしょう。 「電卓はあれど、筆算のやり方は知っておくべし」とする算数の一単元程度に考えておいた方が良いです。 いや、筆算や暗算なんて不要とする国も多いくらいです。 「本来、ミスの多い人間に精巧なプログラミングは向かない」、 「誰でもプログラミングできるように(しなくて済むように)AI支援が進む」 という当たり前の視点が抜けて議論されています。 HP制作スキルと同じです。どの商売にも必要だから、誰でもできるようになりました。 英語もしかりでしょう。 英語が話せないとグローバルなコミュニケーションが取れないと言うのは、現代の技術が不足しているからで、そのニーズがある限り、必ず技術で克服されていきます。 しかも、幸か不幸か、今の勢いからすれば夢物語に終わらず、近い将来に。いや既に。  だから、もっと前からプログラミング教育しておけばAppleやGoogleに対抗できたのかと言えば、そうでもないでしょう。もはや、そこではないです。 人間の仕事は、もっと上位のデザイン(概念・仕様設計)や感性が重視されていきます。 情報化社会を過ぎて、もっと高次の次世代社会(Society 5.0)のありようが求められています。 それには、世の問題に主体的に向き合い、意見を持ち、日本語で構わないから表明できる姿勢を育む方が大事です。 疑問を持たずに学校の宿題をこなし、塾に通い、東大を卒業して、今の日本の大企業です。 アメリカに負け、中国にも負け続けることが現実味を帯びてきた、昨今の日本のテクノロジー産業の凋落をうかがわせる象徴です。 時代は変わって、良い学校・大学・会社だけでは何にもならなくなりました。  プログラミングも、他のスキルと同じように、「良いか悪いかは、その子次第」という視点が大事でしょう。 世界的なロボットクリエイター高橋智隆氏は「自分にプログラミングは向かない」と公言していますし、実際、その辺のパソコンオタク高校生に負けるでしょう。 それだけ向き不向きは大事なことで、自分に正直に生きる勇気があれば、東大卒や一流企業社員に勝てるチャンスはいくらもあります。 塾もロボットも英語もプログラミングも、小中学生の時分は「楽しんでいること」が何より成長の糧になるでしょう。  人間の子供の知育には時間がかかりますが、 ・考える習慣 … 自己肯定感に支えられた、常識に挑戦する勇気 ・経験知   … 直観的な(右脳での)理解、本質を見抜く勘を育てる抽斗 を脳に貯め込み、点と点を繋げて叡智を爆発させるのが凄いところで、その貴重な準備期間と思います。 大人から見れば思考が浅く・遅く見えても、前向きに取り組んでいるお子さんを決して揶揄しないようにしましょう。 大人が率いる産業革命や技術革新もそうであったように、最初は遅々として進まないようでも、 自らの思考で解決する機会をじっくり積み重ねていけば、後に加速度的に能力開花していくものでしょう。 『好きこそ物の上手なれ』…言い古された格言ですが、今風に言い換えると、 「好きなことから率先して抽斗をいっぱい作り、それを楽しめるのが大切、  それには、成功体験に裏付けされた自己肯定感を醸成するのが近道」 ということになるでしょうか。 良質の抽斗をいっぱいにしておかないとゴミ(不安感・自己否定感)が占拠しますので、 「どうせ好きなことしか身に付かない」というネガティブな理由以上の意味があります。  今どきの成功者・ベンチャー社長は、失敗を悔やまないサイコパス的性向も加担していそうですが、 多動的であったり、片付けられなかったり、人の指示を覚えられなかったり、 適応障害の気があっても隠しませんし、自分を許して(セルフ・コンパッション)、自分に正直に生きる勇気で導かれています。 そうやって誰しも成功のチャンス(必ずしも経済面ではなく、充足した人生)が見つかるように、 そして、ビジネス書のみならずYouTubeで最新の研究成果やヒントに容易にアクセスできるように、時代背景が変わりました。 逆に、考え方を変えられなければ多大に損をしそうです。 ですから、過去には一定の要請があったとしても、変えられないDNA・精神性から先に矯正しようとすることによる百害の方を心配すべき時代になりました。 コンピュータやSNSを仕事に使わなかった時代といつまでも同じ尺度で価値を計れません。  話を戻しますと、プログラミングがお奨めなのは、第一義に ・興味を持てること その結果として、 ・論理構成力・表現力を鍛えること ・ICTリテラシー(経験知の抽斗)が育つこと であって、就職に有利かどうかなんて予測が立つ緩慢な時代ではありません。 (自己実現に「予測・長期計画は無意味」という考え方も認められ始めました) ロボットも同様で、プログラミング単体と比較して優劣も何もありません。どちらも優れた知育テーマです。 (人間も、運動系と情報処理系の相互作用でこそ発展してきた究極の主体です) 興味が別にあって、構成力・表現力を試せるなら、本当は料理でも何でもよいですし、 「プログラミングで動くロボットの方が高度で難しい」というのも浅薄な誤解ですが、 プログラミング教育界にありきたりの脅迫フレーズが溢れていますので申し上げておきます。  当カリキュラムにおいては、初めてアドバンスコースがプログラミング化された時、 「賢い生徒さんらに、こんな簡素なフローチャート言語仕様で十分だろうか?」とも思いましたが、蓋を開けてみると、 多くの生徒さんにとって、良く言えば「手応えがある」、悪く言えば「把握しづらい」ブラックボックスに映るようです。 寧ろ、思考力をつけた生徒さんなら2年間は試行錯誤する気になれるツールとして機能しています。 プログラミング言語仕様としては不足も多いのですが、 数学的な抽象化概念が求められるロボプロコースのC言語では尚さら適性が激しく表れ、平均的な小6~中1でも導入には難しい記述体系ですから、子供の挑戦心を邪魔しない程度の簡潔さは必要なものです。  世のソフトウェア技術だけをとっても、まだまだ進化&深化していくのは間違いありませんが、 ロボットや電子機器の制御には、プログラミングだけではどうにもならない機械的・電気的な知見もたくさん必要ですから、 嫌いな分野でない限り、浅くても広く経験しておくことは、自身の適性と進路を見極める強力なヒントと、逆境に強いメンタルを与えてくれるものと思います。 弊ロボット教室カリキュラムの美点は、LEGOライクなブロックパーツと、高橋智隆氏の強力な監修により、センスの良い機械設計を学べること(それ以上に手指を動かすこと)ですが、 幸い、プログラミング対応しても尚、この視点を犠牲にしていません。 加えて、アドバンスコースでは、ミドルコースまでの「与えられた製作手順」から脱し、 「図面から構造を捉え、組み立てる筋道を自分で考える」ステップになりますから、 今後の解のない問題に向き合う為の構成力や創造力を鍛える一助となるでしょう。  「時代の要請」とは即ち、巷では「商売ネタ」として使われているのが殆どであると思って、一歩引いて見て下さい。 子供の平均像でしか語れない教育の2020年問題などに振り回されず、 「お子さんが何を楽しみ、何をしたがっているのか」をしっかり見て、 「何を考え、主張しようとしているのか」を引き出すように応援してあげて下さい。 「興味が無くなった」のなら、辞めるのも英断ですが、 「やってみたいけど、不安」なら、背中を押してあげて下さい。 拙文が本コース履修の後押しになれば幸いです。 東福間・中間・小倉北教室 佐藤